ペダルそれぞれの役割・使い方・踏む時の注意点

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ピアノには3本のペダルがついていますが、「踏むとどうなるの?」「どうやって使えばいいの?」とわからない方も多いのではないでしょうか?

そこで今回はまだピアノのペダルを使ったことのない人向けに、3本あるペダルの役割と使い方を元ピアノ講師が徹底解説します!

ピアノでカッコよく曲を弾くために、ペダルは絶対に必要です。
ペダルが正しく使えるように、この記事を読んで参考にしてみてくださいね!

海老野みほ

海老野みほ

2011年から都内の音楽スクールのピアノ講師として勤務。幅広い知識を活かし、お子様から大人まで、通算200名以上のレッスンを担当。

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ペダルの役割

ペダルの役割

冒頭でもお話ししたように、ピアノには通常3つのペダルがついています。
その3つのペダルはそれぞれ違う機能を持っており、踏むことで音色や音の出方が変化します。

それでは、それぞれの役割について解説します。

右ペダル ダンパーペダル

右ペダル ダンパーペダル

右側にあるペダルは「ダンパーペダル」とよばれる、最も使用頻度の高いペダルです。

通常、ピアノは鍵盤を押している時だけ音が出て、鍵盤を上げると音が消えてしまいます。
ですが、このダンパーペダルを踏むと鍵盤から指を離しても音が持続してくれるのです。

音をなめらかに繋げたい時や、たくさん音を重ねて華やかな演奏をしたい時に使用します。
この右側のペダルは「サスティンペダル」や「ラウドペダル」とも呼ばれることがあり、機能は全て同じものです。

左ペダル ソフトペダル

左ペダル ソフトペダル

左にあるペダルは「ソフトペダル」と呼ばれます。

ソフトペダルを踏むと、音が小さく・柔らかい音色になります。
通常は指先のコントロールで強弱をつけますが、優しい音で繊細な演奏をしたい時や弱く弾く場面が続く時にソフトペダルを使います。

真ん中のペダル ソステヌートペダル

真ん中のペダルはグランドピアノとアップライトピアノで機能が異なります。

グランドピアノの場合、真ん中のペダルは「ソステヌートペダル」と呼ばれます。
電子ピアノの真ん中のペダルも、グランドピアノと同じソステヌートペダルです。

ポイント
ソステヌートペダルはペダルを踏んだ瞬間の音だけが持続し、それ以外の音はペダルの効果なしで演奏できます。

基本的にはクラシック曲の指定表記の所のみで使いますが、ダンパーペダルでは音が濁ってしまうと感じた時に、演奏者の判断で使用することもあります。

真ん中のペダル マフラーペダル

アップライトピアノの真ん中のペダルは、「マフラーペダル」といいます。
日本では「弱音ペダル」とも呼ばれます。

マフラーペダルを踏むと、ハンマーが弦に当たる部分にフェルトのような布が張られ、音が大きく響かないようになります。

これは演奏のために使うのではなく、アップライトピアノを自宅で演奏する時に、音が響いてうるさくない様につけられている機能です。

ポイント
他のペダルと違いペダルの横に窪みがあり、そこにペダルを引っ掛けることで常にマフラーペダルの効果が持続できます。

ダンパーペダル(右ペダル)の使い方

ダンパーペダル(右ペダル)の使い方

それぞれの役割を知っていただいた所で、もっとペダルへの理解を深めていただくためにさらに詳しく解説します。
まずはダンパーペダルからみていきましょう。

仕組み

ピアノはハンマーが弦を叩く時に、弦を押さえているストッパーが離れることでその音が響く仕組みになっています。
ペダルを踏んでいない状態では、鍵盤から指を話すとストッパーが元に戻り弦をおさえるので音が消えてしまいます。

ダンパーペダルを踏むと、全ての音のストッパーが弦から離れた状態になるため、鍵盤から指を離しても音が持続します。

曲でのダンパーペダル使い方

ダンパーペダルは基本的に右足で踏みます。
クラシックは楽譜にペダルを踏む記号が書かれていますが、ポップスの楽譜にはペダル記号が書かれておらず、ペダルを入れるタイミングは演奏者が自由に決めることになります。

ずっと踏んだまま演奏すると、音が重なって濁ってしまうため、適度なタイミングでペダルを踏み直す「踏み替え」という作業が必要です。

ダンパーペダル記号・表記

ダンパーペダルの記号は2種類あります。

こちらは文字と記号で書かれている記号です
「ped」と書かれたところでペダルを踏み、「*」があるところでペダルを離します。

F.ショパン 幻想即興曲
(楽譜引用:F.ショパン 幻想即興曲より)

こちらはカッコでペダルを踏むタイミングが表記されています。
カッコの始まりでペダルを踏み、カッコの終わりでペダルを離します。

F.ショパン 雨だれ前奏曲
(楽譜引用:F.ショパン 雨だれ前奏曲より)

「∧」となっているところは「踏み替え」の記号で、その音のタイミングでペダルを一度あげて踏み直します。

特殊な踏み方

グランドピアノではダンパーペダルを半分ほど踏み込む「ハーフペダル」というテクニックがあります。
ペダルを少しだけ踏み込み、ストッパーを少しだけ弦から離すことで、全て踏み込んだ時よりも響きが弱い音を持続させられます。

ソフトペダル(左ペダル)の使い方

ソフトペダル(左ペダル)の使い方

次にソフトペダルについて詳しい使い方を解説します。

仕組み

ピアノは1つの音を出す時に、弦を3本(低音は2本)を同時に叩いて音の厚みを出しています。
ソフトペダルを踏むと、弦を叩くハンマーの位置が少しずれて弦を2本(低音は1本)だけを叩くようになるので音が小さくなります。

曲でのソフトペダルの使い方

ソフトペダルの使い方は簡単で、音を弱くしたい箇所、優しく弾きたい箇所でペダルを踏み、普通の音に戻したい時にペダルを離します。

ソフトペダルの記号・表記

「una corda」(ウナコルダ)でソフトペダルを踏み、「tre corda」(トレコルダ)でソフトペダルを離します。

この2つの記号は「u.c」「t.c」と略して表記されることもあります。

una corda

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ソステヌートペダル(真ん中のペダル)

ソステヌートペダル(真ん中のペダル)

最後に、ソステヌートペダルも詳しくみていきましょう。

仕組み

ソステヌートペダルは、ペダルを踏んだ瞬間に弾いていた音だけ、弦に触れているストッパーが離れている状態がキープされ音が持続します。
それ以降に弾いた音は、通常通り鍵盤から指をはなすとストッパーが音を止めます。

曲でのソステヌートペダルの使い方

ソステヌートペダルは部分的に持続させたい音がある時のみ使用します。

ソステヌートペダルとダンパーペダルを両方同時に踏み、最初に弾いた音を持続させながら、それ以降の音はダンパーペダルで細かく踏み替えをして、音が濁らないようにすることもあります。

主にクラシックでのみ使用されますが、それほど頻度は高くありません。

ソステヌートペダルを使用曲
ドビュッシーの「喜びの島」「月の光」など

ソステヌートペダルのペダル記号・表記

ソステヌートペダルを踏むところでは楽譜の下に「con pedale sostenuto」と表記されています。
ダンパーペダルの記号と同じ所に書いてある場合は、ダンパーペダルとソステヌートペダルを同時に踏みます。

ペダルを使う時に注意するポイント

ペダルを使う時に注意するポイント

ペダルは、やみくもに使えばいいというものではなく、効果的に使わないと曲が台無しになってしまいます。
ここではペダルを使って練習する時の注意点を4つご紹介します。

ダンパーペダルは使いすぎない

ダンパーペダルは音を持続してくれるので、なめらかに上手く弾けているように感じてしまいます。
特に初心者のうちからペダルを使い過ぎると、演奏する時に指を早く鍵盤から離してしまう癖ついて指先のコントロール力が鍛えられません。

しっかりテクニックを身に付けたければ、たまにペダルを使わずに演奏する練習を取り入れましょう。

ペダルを使わない曲もある

上手い人の演奏でペダルを使っていることが多いため、ペダルは全ての曲で使うものだと思っている人がいますが、それは間違いです。

バッハやモーツアルトのような古典音楽や、早いテンポのポップスなど、ペダルを使わずに演奏する曲もたくさんあります。
ペダルの表記がなくペダルを使うべきか迷った時は、原曲をきいて確かめたり、自分できれいに演奏できる弾き方を見つけましょう。

足をあげすぎない

ペダルの練習を始めたばかりの頃は、足の先をあげすぎてスネのあたりを痛めてしまうことがあります。
ペダルは、足をペダルに触れさせたまま上げ下げするのが正しい使い方です。

ポイント
体重を前にかけた姿勢でペダルを踏み込み、足の先だけを動かすように意識してみましょう。

練習で疲れたら休憩を

ペダルを正しい踏み方で練習していても慣れていないうちは、余計な力が入ってしまい数分程度で足が疲れたと感じるかと思います。

最初から無理をしても上達には繋がりませんので、疲れたと感じたら休憩を入れながら練習しましょう。
無理をして足を痛めないように注意してくださいね。

ダンパーペダルを踏むタイミング

ダンパーペダルを踏むタイミング

ダンパーペダルの練習は、耳をよく使ってペダルを上げ下げするタイミングを調整しましょう。
ダンパーペダルを踏む正しいタイミングは、『持続させたい音の鍵盤を弾いた後』から『その音から指を離して次の音に移る』までの間です

ポイント
ダンパーペダルで音が濁ってしまう時は、ペダルを踏むタイミングが早く、持続させたい音よりも前の音を弾いている時にペダルを踏んでいる可能性があります。
逆に音が切れてしまう場合は、鍵盤から指を離してしまった後にペダルを踏んでいるということです。

テンポの速い曲でダンパーペダルを使うと、ペダルを踏んだり踏み替えたりするベストなタイミングは一瞬ですので、音が濁っていないかを耳でよく確かめましょう。

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まとめ

今回はピアノのペダルについて解説してきました。

ペダルは使えるようになると弾ける曲の幅がグッと広がります。
最初から完璧に使いこなせる人はいませんので、まずは使ってみて、上手くいかないところを少しずつ練習していきましょう!