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アメセル(AMERICAN SELMER)の秘密

 通称アメセルと呼ばれ、フランスセルマーの部品をアメリカでジャズマーケット向けに組み立て、調整を施した楽器の事です。従ってシリアル番号はフランスセルマーと同一のものが使われており、資料も少ないことから、明確に何番のシリアル番号はアメセルと言うことはなかなか分かりませんが、サウンドの違い、彫刻模様、塗装、調整などの違いで見分ける事が出来、現在ヴィンテージに分類されています。

■ サウンドはフランスセルマーがクラシックマーケット用の仕上げを意識しているのに対し、アメセルはジャズマーケットに向いた、音抜けの良さ、鳴りの良さ、アーティキュレーションによる音色の変化の幅の広さを追求した楽器と言えます。簡単に言えばフランスセルマーはオペラの歌手が歌うような奏法に向いた楽器、アメセルはジャズヴォーカリストの奏法を表現しやすい楽器とでも言えば、何となくニュアンスが伝わると思います。
どこが違うの?
 具体的にフランスセルマーとの違いを挙げていくと、
1 オクターブキーのベンドチューブの内径を広げ、音抜けの向上を計っているものがあります。
2 ネックのリードパイプの内径を広げ、音量の増大を計ったものもあり、ピッチは内径を広げると低めになるため、ネックコルクはマウスピースを深めに差し込めるよう、長めに巻いてあります。
3 キーアクションは低めにセッティングされ、速いパッセージでも楽なフィンガリングが出来ます。
4 塗装はフランス製に比べ、薄く柔らかいラッカーを吹き付け塗装し、自然乾燥に近い仕上げとなっています。管体ブラスの響きを殺すことなく、ナチュラルなサウンドを引き出します。塗装は楽器を組み立てた後に空いているタンポを閉じた状態で吹き付け塗装を行ったため、オリジナルタンポには外周にラッカーがかかっています。
5 U字管の接合部分には、息漏れを防ぐためにハンダ付けをしてある楽器を多く見ることが出来ます。またU字管の中の上部に補強とサウンドバランスを取る目的のためか、バランサー(薄い板金)を取り付けられた楽器もあります。
6 キーノイズを防ぐため、オクターブ連絡キーの細部に小さなコルクを取り付けた楽器も多く見られます。
 上記のような組立、調整が腕の良い職人の手によって行われ、ハイクオリティーなサックスが作られました。
このような、アメセル独特の調整を施した時期は1945年位からマーク7のモデルまでとなっていますが、本格的に細かな所まで調整していたのは1975年位までと言われています。従ってシリアル番号から製造年を見ると、アメセルとしてのモデルは、SUPER BALANCED ACTION、MARK6、MARK7のモデルとなります。

■ マークⅥ(MARK6)
 直前のモデルであったSUPER BALANCED ACTION(スーパーバランスアクション)のオクターブメカニズム、テーブルキー等を更に改良、グレードアップしてサウンドもパワフルにしたモデルがマーク6です。このモデルから現在のセルマーの特長となっているネックオクターブキーにSのマークが付けられました。スーパーバランスアクションではインライン的な配列だった、左手オクターブキーの操作キーをより動きとフィンガリングが良い方式、形状に変更され、テーブルキーにはこの当時、初の連動式を採用し、(今では当たり前ですが、これによってLOW.Bb.B.C#のフィンガリングが非常にスムーズに行えるようになったのです)全体に小振りなキーの形状とスムーズなキーアクション、勿論、素晴らしいサウンドクオリティーはプロマーケットで圧倒的な支持を受け、不動の地位を確立しました。20年近く、このモデルが製造され続けた所以でもあります。

■ この長い期間にはいくつかのマイナーチェンジが行われています。初期の50000番台の楽器は、多少スーパーバランスアクションの名残がパーツなどに見受けられ小振りな作りとなっています。ベルの形状も開き方がゆるやかになっています。一番大きなマイナーチェンジは1965年頃に行われ、ベルとU字管の長さが変わりました。前期のものは接合リングの模様が縄目模様、後期のものは硬貨の渕に付いているギザギザ模様のようになっているので見分けが付きます。この頃を境にキーパーツは太め、大きめに変更されているのが目に付きます。サウンドも大まかに分ければ、1965年前が暗い感じ、渋め、丸い、などの言葉で表現すると、1965年以降は、明るめ、パワー憾などの言葉で表現しやすいと思います。シリアル番号で見ると13万番台以前と14万番台以降が分かれ目となっています。ソプラノサックスは、この年代を境に前期は管体がワンピースで作られていたのに対し、後期はリードパイプが別パーツを取付てあります。サムフックは前期ソプラノサックスは本体にブラス製のかなり小型のパーツを直付けしてあり、後期のモデルはデタッチャブル式のプラスチック製に変更されています。アルト、テナー、バリトンのサムフックはどちらもデタッチャブル式ですが、前期モデルはブラス製、後期モデルはプラスチック製に変更されています。

■ マーク6は製造年によるサウンド傾向の違いもかなり細かくあり、理想のサウンドを求めるプレイヤーが頭を(耳を)悩ませる所でもあり、また楽しみでもあります。
音と言うのは、ひとそれぞれ感じ方が違うのでなかなか上手く説明できないのですが、大体の傾向としては、アルトは5万から6万番台は軽め、甘め、柔らかめ、7万から9万番台は渋め、ややエッジがある、10万から11万番台はバリッとした感じで渋め、12万から13万番台はナチュラル、14万から15万番台は、エッジが際だったサウンドで、デヴィッドサンボーンに代表されるようなサウンドが出る楽器です。16万台以降は現在のシリーズ2モデルに比べれば、ダークで味のあるサウンドですが、マーク6の中で比較すれば、明るめ、パワー憾のあるサウンドです。
 テナーはアルトとほぼ同じような傾向ですが、9万番台には、音の重み、粘り、が多い楽器が見られ、強い人気があります。因みに私の楽器はNo.78132で1958年製です。

■ Mark6のシリアル番号と製造年
製造年 シリアル番号
1954 55201-59000
1955 59001-63400
1956 63401-68900
1957 68901-74500
1958 74501-80400
1959 80401-85200
1960 85201-91300
1961 91301-97300
1962 97301-104500
1963 104501-112500
1964 112501-121600
1965 121601-131800
1966 131801-141500
1967 141501-152400
1968 152401-162500
1969 162501-173800
1970 173801-184900
1971 184901-196000
1972 196001-208700
1973 208701-220800
 markⅥ 1954~1973年 (markⅦ 1974~1980年)

 

(2018年5月29日(火) 7:26)

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