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構想倒れ

 先日WEB系の仕事をしている長女と話したときのこと。
 RPGゲームを作るツール(アスキーから出ていたツクールみたいなものか)があり、ゲームを作りたいアマチュアがゲームを作ってネットで公開しているのだそうだ。

 その中で、壮大な構想を作りながらそれを完結することができずに放り出している人を「エターナる」と呼ぶと言うのだ。曰く作品が「永遠に完成しない」状態になること。
 壮大なファンタジー世界を構築し事件の年表を作り出してなおエタる人などがいるそうで、エタるというよりへたるだね、と笑っていたが小説と同じだなと感じた。
 娘からは「父さんは、書き出した作品を投げずに完結させて偉い」と言われたが、実は投げ出さないこつがある。

 長大な物語で細部まで練られた世界観と諸設定と言われて思い浮かぶのがJ・R・R・トールキンの「指輪物語」である。北欧神話やケルト神話の豊富な知識を利用した緻密な設定が有名だが、あれも最初からすべての設定があったわけではない。最初は「ホビットの冒険」という児童文学が始まりだ。その物語を紡ぎながら世界が完成していった訳である。

 また、エンタメ作品ならばエドガー・ライス・バローズの「火星シリーズ」も有名だ。これも火星語辞典などが有名だが、これも最初からできあがっていたのではなく、主人公ジョン・カーターが未知の世界である古代の火星に転生し初めて見る世界に驚き次第になれていく過程で作者がでっち上げていった世界である。

 作者が物語世界を構築する過程とは、主人公(読者)がその世界を知っていく過程なのである。
 作者は物語を語りながら同時に世界を構築しているのだ。架空世界の構築は物語が終わったときにこそ完了するのだと考えればいい。
 世界の構築で疲れ果てて物語を途中で放棄するようなことは、これで防ぐことができる。小さなドラマの積み上げで、世界は完成していくのである。

 

(2016年9月6日(火) 21:21)

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