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「語り口」の「緩急」

 小説に限らず「ストーリー」のあるコンテンツには、「緩急」が必要である。次が気になる、ページを手繰るのももどかしい、読者にそんな気持ちにさせるために昔から色々なことを教えられる。
 構造上のコツとして、「起承転結」「序破急」などと言われる。また、「誘って、じらして、満足させる」などとも言われる。
 「緩急」の「緩」は「起承転結」の「承」であり「序破急」の「序」であり「じらし」である。
 構造ではなく文章や語りの技法上のコツもある。

例文「緩」
 改札口は女性職員だった。戦地へ出征した男性職員の穴を埋めるため、全国的にバスも鉄道も女性職員が増えていた。昼食時間直後のせいか待合室は閑散としていた。国民服姿の男ともんぺ姿の婦人が数人、ベンチに座って列車を待っているだけだ。
 
例文「急」
 対する四人は、ばらばらっと、女の周囲を囲むように位置をとると攻撃に備えた構えをとった。右拳を脇に抱え左腕を前に立てた剛柔流空手を思わせる者、脇を閉め開いた手を顔胸前に構えて軽く前傾した構えをとった者は柔道系であろう。後の二人は拳闘の経験者だろうか、腰を落とした武術系の構えではなく、左拳を前にしてぴょんぴょんと軽くフットワークを使って位置を少しずつ動かしている。

 「緩」の方は、通常の情景や状況の描写である。文末、「だった」「いた」「いた」「だけだ」と言う具合に、過去形で淡々と語られる。
 一方「急」の例文では「とった」「であろう」「いる」とリズミカルな語感を演出するために過去形と現在形が使用され、一読してそのスピード感や緊迫感は明らかである。このような表現は、「ここぞ」というシーンで使う。逆に通常の地の文でこういう表現を多用していると、いざという時にコントラストがつかなくなるのである。
 こんなポイントにも注目して小説を読んでみると勉強になる。
 

 

(2016年4月10日(日) 17:25)

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