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「教える力」とは

 スポーツのコーチや、職業の技などを教えるのには巧い下手がある。また名選手必ずしも名コーチならずなどとも言われる。
 「教える力」とはいったい何なのか?

 スポーツや武道などで、無駄な「力み」をとるために昔から行われたのは、「千本突き」とか「千本ノック」などの「へとへとになるまで繰り返す」練習だった。否応なく力が入らない状態までもっていくわけである。正しい形を身につけるために回数をこなすのは決して間違いではないが、そのために当人達のモチベーションを下げては元も子もない。
 なぜ「力み」を取らなければならないか。どうやって「力み」を取るか、教える人間はそれを「言葉」で伝えるしかない。

 仕事でも同様だ。
 私は苦情電話処理を行っていたのだが、「それはお答えできない」ではなく「それはご案内していません」と言え、と教わる。理由ではなく「経験則」をコピーするように教わるのだが、それだけに忘れる者も多い。
 そのため「ご回答はいたしかねます」という返答をして相手を怒らせてしまう。どれほど慇懃な表現でも「いたしかねます」は「拒絶」である。むしろ、多少ぞんざいでも「それは、ご案内していないんですよ」の方がお客の反感が少ない。
 これなど教える段階において言葉で「できない、という拒絶の表現は相手の心に刺さるけど、していない、という状況説明表現は心に刺さらない」のだ、といえば一発でわかる。この言葉にしないで経験則をコピーするように教えるためになかなか覚えられないのである。

 「教える力」とは、「こつ」や「経験則」などを適切な言葉で伝えることができる、「言語化する力」に他ならない。

 

(2016年3月24日(木) 9:01)

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