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物語の発想と膨らませ方(2)

 さて前回、私は、障害者も健常者とともに戦争に参加できる状況としてのドローン部隊を考えた。そこにドラマを盛り込むために考えたのが、次のキャラクターだ。
 幼少期に事故に遭い、下半身が不随となり車いすで生活する青年・タカシ。「健常者には僕たちの気持ちはわかりっこない」が口癖。屈折している。しかし、軍のドローン部隊の遠隔操縦パイロットとして採用され、「自由に飛べる翼を得た」「周囲から一人前の軍人として扱われる」という体験から、自信をつけアイデンティティーを確立していく。しかし、ラスト近く、自分が英雄として賞賛されたその任務で、敵国の少年が自分と同じ障害者になっていたことをテレビニュースで知り愕然とする。
 タカシと対比させるために次のようなキャラも考えた。戦場で受けた傷で障害者になったパイロットのケンジ。その腕を買われてドローンパイロットとして再び戦争に参加させられた男である。彼は戦争の前線を知っているため軍務に対してはニヒルな認識である。
 さらに、次のようなキャラも考えた。ゲームマニアのように任務にのめり込んだ青年・アキラ。人間は音や光の刺激に達成感や勝利感で分泌される脳内快感物質が条件づけられると一種の中毒になることがわかっている。まあ、パチンコやスロットがいい例だ。アキラは戦闘中毒になってしまうのだ。
 戦闘で体を損なったケンジと対比させる、戦闘で心を損なったアキラという構図。
 さらに、タカシを支えるボランティアの少女・マリアという存在を考えた。彼女は、タカシが社会に出て自立していく力と支えになったものが、自分たちの支援や愛情ではなく、殺人ドローンと戦闘任務であることに打ちのめされてしまう。
 軍は、戦争遂行の為に、障害者の兵士・タカシを英雄化する。何とも皮肉な物語ではないか。
 最後に、任務に飲み込まれることなく、冷徹に見つめていたケンジこそが、この物語の語り手であることが読者にわかる。

 こうして、ドローンを使った戦争状況のなかで描くべきドラマが決まった。後は、彼らの心がそれぞれのゴールに到達するためのエピソードを考え、シーンを思い描き、それを文章で描写すれば、作品ができあがる。
 これが、私の小説の作り方だ。

 前提条件として、
 ・社会現象やニュースなどに常にアンテナを張る。
 ・過去の作品群を知っていて、発想や設定が重ならないかを判断できる。
 ・正邪、善悪などの見方が、一面的ではない。むしろ皮肉意地悪い見かたをすることができる。
 などの、日常の知見の蓄積や、考え方の修練が重要だと言うことがわかると思う。
 でも心配はいらない。小説を書きたいと思うみなさんにとって、この「日常の知見の蓄積や、考え方の修練」は楽しくて仕方がないものだという事がわかっているからだ。

 

(2015年2月2日(月) 19:41)

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