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好きな作品を精読する

 好きな作家の好きな作品を精読することで、思わぬ発見をすることがある。私の体験をお話ししよう。

 私の好きな作品に笹沢佐保の「木枯らし紋次郎」というシリーズがある。読者として作品を楽しんでいたが、作家修行の一環として一度徹底的に分析したいと思っていた。
 そこで、30歳の時に、シリーズの第一作の「赦免花は散った」というエピソードを分析してみたのだ。
 物語の概要は以下のようなものである。

 紋次郎がこの世でただ一人、気を許した兄弟分、日野の左文治の身代わりで三宅島に島送りになるというところから始まる。その時、紋次郎には密かに慕うお夕というかたぎの娘がいた。しかし、流人船が出ようとしたとき、お夕は橋から身を投げて自殺してしまう。自分のためにかたぎの娘を死なせたことに紋次郎は苦しむ。
 三宅島での紋次郎の心の支えは、誰の子かもわからぬ子を身ごもった、同じくお夕という名の女囚の面倒を見ることだ。死んだお夕の供養のつもりである。しかし、その女も身を投げて死んでしまう。それを機に、紋次郎は誘われていた島抜けに加わり、江戸に戻る。するとそこには、死んだはずのお夕の姿が……。

 赦免花とはソテツの花で、この花が咲いた年には刑期を終えた者を迎えに来る赦免船が来ると信じられていた。紋次郎を身代わりにさせるため、裏切りの一芝居を打ったお夕は、ラストシーンで「おなかの中に左文治の子がいる、左文治を切らないで欲しい」と嘆願する。紋次郎の脳裏に、父無し子を抱えて身を投げた三宅島のお夕の姿が浮かぶ。
 「赦免花は散ったんでござんすよ」
 そう呟いて紋次郎は左文治を切る。

 以上のストーリーの進行を、私は段落ごとにまとめていった。右から左に向かい縦書きでシナリオ風に段落をまとめていく。各段落で、登場人物、台詞、心情、描写される光景といった具合に表にしていった。すると、この作品が実に緻密に構成され、要素が配置されていることに気づいた。
 また、作者は、紋次郎が「思った」とか「感じた」などと一切説明しない。しかし、彼の見た光景の描写だけで、紋次郎の怒りや絶望を読者に「しっかりと伝えて」くる。しかも、ストーリーがどんどん展開していくのにシンクロして、火山の噴火、荒れる海、と舞台背景も劇的に展開する。
 光景の描写だけで主人公の心情を雄弁に語る、まさにハードボイルドな作品である。

 ラストの「赦免花は散ったんでござんすよ」というセリフは、人を愛し信じていた紋次郎の中の人間的な感情が散りはて、ニヒリズムの中に落ち込んだという宣言なのである。このエピソードを皮切りにして、島抜けをした紋次郎は、関八州をさすらう無宿人となるわけだ。

 私が何より感嘆したのは、私がチャート化して分析して割り出した作品の構成を、笹沢佐保はまちがいなく頭の中だけでやっているということなのだ。

 皆さんも自分の好きな作品で、同様の分析をされることをお勧めしたい。実に勉強になる。

 

(2014年12月3日(水) 23:53)

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