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官能小説というジャンル

 このブログの読者である映像クリエーター氏から、「作品の中にエロティックな描写を入れなければならないのですが、唐突にならない方法はないでしょうかね」という質問をいただいた。
 文芸に限らず、エンターテイメントにとってエロスとは無視できない要素である。依頼主からエロティックなシーンや描写の要請がある場合もないわけではない。そこで、今回は、二回にわたってエロスやエロティシズムに関して書いていこうと思う。

 私は作家として、官能小説を書いた経験がある。商業誌に掲載された作品もある。以下は、その上で体験したことである。

 15年ほど前であるが、私は地元の文芸同人誌に加わってくれないかというお誘いを受けたことがある。ちょうど地方新聞社系の広告会社の社員をしながら文芸修行をしていた時代である。その数年前に、東京のテレビ局主催・その系列の経済新聞社が後援するテレビドラマの原作募集で佳作に入選していた。親会社の社員で同人誌を主宰されている方から社内の知人を介して打診されたのである。

 その同人誌を拝見して、自分の指向するエンターテイメント作品とはかなり乖離があるので一旦お断りしたのだが、是非加わってほしいということで了解した。
 ちょうど作品発表の場として、自分で「デジタル文芸」という文芸サイトを立ち上げたころであった。
 主催者の方(勤務先の親会社の方と言うこともあり無碍にはできないわけね)からは、同人誌のサイトを作りたいので、そちらも協力してほしいと言われた。まあ、勤務先でもWEBディレクターとかやってたので異存はなかった。
 初めて関係者に会う時に、頼まれていたその同人誌サイトのデザインまで用意した。みなさん私より10歳以上も年上の方たちで、長年同人をされてきた方ばかりなので、それなりの礼儀を払ったわけである。
 ところが、その会合の翌日、「今回の話はなかったことにしてほしい」と言われた。その理由としては、私の文芸サイト内にかつて商業誌に載った官能小説があり、それを読んだ女性同人から、「ポルノ小説を書くような人の参加は認めない」という意見が出たのだそうだ。
 もともと、合わないだろうなと思っていたので、「やっぱり」とは思ったが、同時に「俺の作品を読まずに誘っていたのか」とあきれたものである。どうやら、同人誌のWEBサイトを作りたいがプロに頼むお金は無いし、ちょうどWEBに詳しくて小説を書いている若い人がいるので、同人に誘ってサイトも作らせよう、という狙いだったようだ。

 舐められたものである。

 このように、官能小説とは周囲から一段低いもののように思われがちだが、実は、これはこれで大変力量を要求されるもので、それだけに多数の作家が、一度はチャレンジしている。敷居が低いとはいえ、商業誌に採用されるのはそう簡単なことではないのだ。
 「読者の自慰行為の助けをする作品」とさげすまれそうだが、多くの文芸同人誌に散見される「作家の自慰行為」のような作品よりは読者のためになるだけ、作品としての価値は高いと思う(この文章にさりげなく込めた毒、みなさんならわかってくれると思う、苦笑)。

 ということで、私は「官能小説」を卑下するようなことはありませんので、「俺が書きたいのは官能小説なんだけど」と思いながら、だれにも相談できなかった方は、遠慮なく無料体験に申し込みいただきたい。恥じる必要はありません。私も書いていたのだから。

 次回は、私の作品「1988獣の歌」と、重松清の作品「なぎさの媚薬」を例にして、実際の官能小説のストーリー作りを解説しようと思う。お楽しみに。事前に読んでおくことをおすすめしますよ。

 

(2014年8月30日(土) 18:28)

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