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1人称、3人称、神の視点

1人称で書くか、3人称で書くか

 初めて小説を書くときに、まず最初にぶつかる問題の一つが語りの視点を誰にするか、そしてそれを1人称で書くか3人称で書くかということだ。
 1人称の語りとは以下のようなもの。

 俺がその街に着いたのは、11月の下旬だった。駅前の商店街でも気の早い店からはクリスマスソングが漏れてきて、アーケード街に連なる閉じたシャッターに反響して、そのわびしさをいっそう際だたせていた。

 「俺」という主人公に語らせる、完全な1人称体だ。これを「俺」ではなく「隆(たかし)」という名前に変えると3人称になる。こんな具合だ。

 隆がその街に着いたのは、11月の下旬だった。

 どのような違いがあるかというと、それぞれの場合の後に、主人公がいない別の場所のシーンを追加してみるとわかる。

 一方、同じころ、駅の反対側のロータリーでは、真智子がタクシーを捕まえていた。

 この内容を書く場合、「俺」という1人称の場合だと、

 今頃、駅の反対側のロータリーで真智子がタクシーを捕まえているはずだ。

 と書かねばならない。面倒だよね。1人称は一見書きやすそうだけどこのような制限が生まれる。逆にその制限こそが1人称のメリットでもあるのだ。

 3人称にはもう一つ、神の視点というものが存在する。今まで述べた3人称が「俺」という視点を維持しながら3人称で語っていた(1人称視点の3人称などともいわれる)のとは別に、神視点の場合は、章や段落ごとに主体となる人物の視点を変えることができる。いわば神視点の3人称だ。 先ほどの例でいけば、

 真智子は、タクシーを捕まえるために右手を挙げ、精一杯の笑顔をしながら、心の中で、さっさと止まれよ、と毒づいていた。

 という描写をしたり。さらには、古風なスタイルだと、「彼女の名誉のため、普段の真智子はけしてこのような女性ではないと付け加えておこう」などと、語り手としての作者が顔を出してしまうことも可能だ。小説ではないが、手塚治虫がマンガの中でよくやる楽屋落ちである。
 私が初めて書いた小説が、実は1人称「俺」のハードボイルドミステリーだった。書きながら、この1人章の壁に気づいて勉強になった。今思えば、まだ若書きの恥ずかしい作品だが、幸運にも小説推理の双葉社の編集の方に読んでいただきアドバイスをもらえた。

 「最初は3人称で練習をした方がいいよ。1人称はむずかしいからね」

 当時、何が難しいのかよくわからなかったが、今ではまったく同意見である。

 特に神視点の3人称は、メインとなる登場人物が3人ほどいて、彼らを主人公にしたエピソードが交互に出てくる長編小説(スティーブン・キングなどの作品を思っていただきたい)に適している。
 一方、「俺」による1人称小説は、完結した短い短編の連続で物語が進行する、連作長編に向いている。
 実は、このあたりの勘所は平井和正氏の「ウルフガイ」シリーズで学んだ。面白い小説なので一読をおすすめする。
 人狼を主人公とした活劇小説であるが、二つのシリーズが平行している。
 犬神明というルポライターを主人公にした連作短編アダルトウルフガイ。これは「俺」で語られる。主人公の軽妙なキャラクターは、その後多くの作者に影響を与えていて、有名なところでは、寺沢武一氏のコブラは犬神明がインスパイア元だろうと思う。
 もう一つが高校生の犬神明を主人公にした3人称の大長編である。人狼の「不死と超能力の秘密」を巡りアメリカのCIA、中国情報部虎部隊などが三つどもえの戦いを繰り広げる興奮必至の物語で、高校生の私も何回も何回も繰り返して読んだものである。

 この人称の切り替えで面白い効果も出せる。自分も以前、「僕」の1人称で少年時代の思い出を語り、それを夢で見ている「私」のエピソードと交互に配置してクライマックスに持って行くというホラー短編を書いたことがある。
 また乙一氏の初期短編集「GOTH」の中にも「犬」という優れた作品があるので、これも一読されたい。

 

(2014年6月28日(土) 12:19)

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