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ボーカリストという楽器 その2

ボーカリストは、本当に面白くも、厄介な楽器です。
調子がよい日もあれば、悪い日もあり、それが、なかなか予測できません。

それに、ちょっとしたことで、大きく変わります。
それが、面白い所でもあり、厄介なところでもあります。

たとえば、今日、とある音楽学校の歌の授業を見学していたのですが、その授業は、生徒が一人づつ自分の歌いたい曲を歌ったり、演奏して、講師がアドバイスするというもので、私は、最近時々見学しています。

私は以前から、ある生徒さんの歌がとても気になっていました。
彼女は、歌う時、身体の重心が少し後ろに偏っていたのです。自然に後ろに体重が傾いているのは、彼女の無意識の心の状態の表れだったりします。熱唱していても、その音はとても閉ざされていて、拒否的なイメージ、ナルシズム的な歌という感じがしていました。
「もう少し、重心を前に持ってくれば良いのに・・・」
純粋にそう思いました。
理論的にというよりは、無意識的にそう感じました。

それで、ずっと気になっていたのですが、今日、授業が始まる前に少し時間があり、彼女が、近くにいたので、他の先生の生徒さんなので、通常あまりアドバイスはしないのですが、「ちょっと、体重が後ろにいってるから、もう少し体重を前に持ってきた方が良い声が出るよ」とアドバイスしてみました。

そして、その生徒さんの順番になったのですが・・・、まず、イントロから彼女の様子が全然違う!!
まっすぐ立ってる!!エネルギーが、スッと縦に伸びて地面に足がついてる。表情も良くて、すごく落ちついたエネルギーが感じられて・・・。

まあ、私のアドバイスを聞いてくれてそうなったのかは定かではありませんが・・・(笑)、今日は、「後ろ体重だな」とは一度も感じませんでした。
音程や歌い方などの改善すべき点は、まだまだ多いのですが、歌自体も以前と異なり、とても聴きやすくて、彼女の歌を通して伝えたい思いや、声が素直に前に向かって流れていくのが感じられました。
聴いていた他の生徒も驚いたのか、彼女が歌い終わった後、「今日はいつもと全然違うね。すごく良かったよ!!」などと声をかけている子もいて、私が感じたことは間違ってなかったんだなと思いました。

体重が、後ろから前にいっただけで、こんなに変わるなんて・・・、ボーカリストとしては恐ろしいことでもあります。
心の状態・身体の状態が、すべて歌になってしまうんです。
でも、その分、そういう部分を少し変えるだけで、格段に良い歌が歌えるようにもなるわけで・・・。
レッスンでは、そういうことを助言することも多いです。
どんなに発声練習しても、そういう部分が変わらないと歌が変化しないことも多いからです。

最近は、生徒さんからそのようなことを学ばせてもらっています。

私自身も、そういうことを心していかねばと思う今日この頃、精進、精進(^−^)。

 

(2011年6月3日(金) 1:49)

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この記事を書いたコーチ

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