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実は深い?インドネシア語のkamiとkita

Selamat malam!
インドネシアに避暑に行きたい今日この頃。インドネシアの暑さのほうが、日本よりもからっとしていて過ごしやすいんですね(感じ方には個人・地域によって差があります)。

今日は、「問題な日本語」ならぬ「問題なインドネシア語」についてちょっと考えてみたいと思います。

ちょっと小難しい話ですが、日ごろことばについて立ち止まって考えることが多い方はぜひ最後までお付き合いください。

テーマは、「実は深い?インドネシア語のkamiとkita」です。
インドネシア語って、一人称複数形(つまり「私達」)が2つあるんです。「聞き手を含む私達」kitaと「聞き手を含まない私達」kamiです。日本語にはこの区別がないのでややこしいという方も多いんですが、実は日常会話ではネイティブもよく間違ってます 笑

っていうか、日常会話ではkami(聞き手を含まない方(ほう))が使われることはあまりなく、事実として聞き手を含まないような内容でも全部kita(聞き手を含む方)になっていることが多いです。なのでその違いを理解していると一瞬「ん?」ってなることがあります。

よくある顕著な例を1つ。

「あなたは私達についてきなさい。」
誤 :Kamu ikut kita saja.
正 :Kamu ikut kami saja.
※単語 Kamu(あなた)ikut(ついていく)saja(強調)

「ついてきなさい」という発言はまだついてきていない聞き手(あなた)に対してされたものですから、ここでいう「私達」が聞き手(あなた)を含むのは現実にはありえません。だから、本来は聞き手を含まないkamiが使われるべきなんです。でもネイティブがしゃべったものだと正しいと思っちゃうから最初のうちは一瞬戸惑っちゃうんですよね!

kamiとkitaの辞書的な意味を考えればこれらはあきらかな間違い。しかし、この誤用が定着しているためか、ネイティブ曰く日常会話でkami(聞き手を含まない方)を聞くと、「なんかえらいフォーマルな話し方する人やなぁ」という印象を受けるそうです(あくまで個人の感想です)。なので、僕も日常会話でどっち使ったらいいのかよくわかりません 笑 まあ、とりあえず彼らはあんまり気にしてないみたいです。

ちなみに、以前論文(Wouk 1998)で読んだことがあるのですが、インドネシア人(特にジャワ人)同士のコミュニケーションで重要なことは、相手と実際に親密かどうかという事実に関係なく「親密な雰囲気をかもし出す」ことなんだそうで、それが言葉遣いに現れることもあるみたいです。だとすれば、インドネシア人はkami(聞き手を含まない)を使うべき場面でも、実際に相手が含まれるかどうかという事実に関係なくわざとkita(聞き手を含む)を使うことで相手に親密さをアピールしている可能性もありますね。ちなみに、反対に聞き手を含むkitaであるべきところをkamiと言ってしまうことはほぼありません。そんなふうに考えてみるとちょっとおもしろいですね。

最後に、これはうちの大学のネイティブ教員から聞いた話なんですが、インドネシアの政治家はこのkamiとkitaを戦略的に使い分けることがあるそうです。

例えば、「私達のお金」など、自分達のものであることを強調したい時には聞き手を含まないkamiを、反対に間違いを批判されたり、集中攻撃を受けかねない際どい発言をするときなどにはkitaを使って相手を巻き込み、連帯責任みたいな感じに見せることがあるとか。笑

せこっ!!!笑

ちょっと脱線しましたけど、まあ要するに日常会話においてはkami/kitaの違いはあんまり深く考えなくていいということでしょうね。

というわけで皆さんもインドネシア語を練習するときは、あんまり細かいことは気にせずに、まずは肩の力を抜いてどんどんしゃべっていきましょう!笑
そうすれば自然と身につくはずです。

それではSampai jumpa lagi!

参考
Wauk, Fay. (1998). 'Solidarity in Indonesian conversation: The discourse marker kan'. "Multilingua" 17: 381-408

 

(2017年7月17日(月) 21:29)

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