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バカロレア、始まる。哲学だ!

日本語では一般的に「大学入学資格試験」と言われる“baccalauréat”(バカロレア、通称“bac”「バック」)が、今年も始まりました。1808年にナポレオン・ボナパルトによって導入された資格試験。このバックに合格すれば、グランゼコールなどを除いて、希望の大学に入学することができます。ただし定員オーバーの場合は、バックの成績や居住地などによって決定されます。

また大学進学を目指さない場合でも、「中等教育修了資格試験」とも言えるバックに合格しておくと、その後の人生が変わってきます。バックには、
・一般バカロレア(baccalauréat général)
・工業バカロレア(baccalauréat technologique)
・職業バカロレア(baccalauréat professionnel)
の3タイプがあり、大学入学を目指すなら一般バカロレアを、就職などを目指すならそれ以外のバカロレアを受験することになります。就職するにしてもバックをもっていないと、「スーパーのレジ打ち以上の仕事にはつけない」と言われているようです。職種に貴賎はないと思うのですが、階級社会・資格社会ではこう言われるようです。

それだけに、どうしても受かりたいという気持ちから、カンニングに走る受験者も。それも最近では、日本と同じで携帯を使ったカンニングが増えているそうで、携帯の持ち込み禁止などが実施されています。しかし、それでもカンニングをする受験者は後を絶たず、2009年には219人、2010年には272人が現場を取り押さえられ、退席処分になったとか。受験とカンニング、国の違いを問わないようです。

さて、一般バカロレアは、さらに3つのコースに分けられています。
・la série S (scientifique:自然科学系)
・la série EB (economique et sociale:社会科学系)
・la série L (litteraire:人文科学系)

日本では、何となくサラリーマンになろうと思っている受験生は、経済学部や法学部などを受験することが多いですが、フランスでは、自然科学系が多い。人文科学系は、男女を問わず、作家、ジャーナリストなど明確な目標のある人が受けるそうです。女性だから文学部、という考えはないようで、かつての日本(今でも?)とは異なっていますね。

さて、さて、バックの先陣を切って、哲学の試験が行われました。さすが、「我思う、ゆえに我あり」(Je pense, donc je suis.)の国。今年は、どのような問題が出されたのでしょうか・・・

・la série S
  Sujet 1 : Avons-nous le devoir de chercher la vérité ?
       (我々は真実を探求する義務を負っているのか)
  Sujet 2 : Serions-nous plus libre sans l’Etat ?
       (国家がなければより自由になるのだろうか)
  文献解釈:Rousseau, Emile ou de l’ éducation
       (ルソーの『エミールあるいは教育』)
・la série EB
  Sujet 1 : Peut-il exister des désirs naturels ?
       (自然な欲求は存在するのだろうか)
  Sujet 2 : Travailler, est-ce seulement être utile ?
       (働くことは、たんに役に立つということなのだろうか)
  文献解釈:Barkeley, devoir et obéissance
       (バークリーの『義務と服従』)
・la série L
  Sujet 1 : Que gagne-t-on en travaillant ?
       (働くことによって何を得るのだろうか)
  Sujet 2 : Toute croyance est-elle contarire à la raison ?
       (信仰はなべて理性に反するのだろうか)
  文献解釈:Spinoza, Traité théologico-politique
       (スピノザの『神学・政治論』)

知識を総動員して、いかに説得力のある論旨を展開できるか・・・正解、不正解があるわけではありません。テーマの理解、掘り下げ、論旨の一貫性などが考課されるわけです。

皆さんなら、論理をどのように展開しますか。バークリーって、誰?(ジョージ・バークリー、1685-1753、アイルランドの哲学者、観念論、「存在することは知覚されること」) スピノザって、どこかで聞いたことあるけど、わかんな~い(1632-1677、オランダの哲学者、合理主義哲学、汎神論)・・・フランスでは、17~18歳が取り組んでいます。もし時間がある方は、ちょっと、考えてみませんか。上記のようなテーマについて考えをめぐらすことも、「フランス」の一部なのですから。

(一部、私の以前書いたブログから引用しています)

 

(2012年6月19日(火) 16:10)

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この記事を書いたコーチ

大学で仏文専攻。海外駐在の後、パリに留学しソルボンヌの文明講座を修了

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