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写真を500年先の未来へ残すためには

随分と久々の更新となりました。ブログの続きを楽しみにされておられました皆さんへお詫び申し上げます。

新型コロナウイルスにて大変な半年間でしたが、このブログをご覧になられている皆さんはご無事でありましたでしょうか。私もこの一年は環境の変化が激しくやっと落ち着いたところでございます。そんなタイミングで当サイタにて「カメラ講座」以外に開設しております「ビデオカメラ講座」の方で集中的にレッスンを務めさせていただくことになり、私自身サイタにて息を吹き返しました。

さて、表題の通り写真を500年先の未来へ残すためについて少し話をしようと思います。スマホが普及し今この瞬間にも世界中で物凄い数の写真が撮影され、そしてSNS等で公開、共有されている訳ですが、それら写真の中で500年先まで残る写真は一体どれだけあるでしょうか。きっと1〜2枚でもあれば奇跡でしょうか。このデジタルの時代においていくらでもコピーできる中でそんなバカなと、きっと思われるでしょうが、”デジタル”というものは想像以上に弱いものです。まずはフォーマット。「Jpeg」という言葉はカメラをされている方であれば御馴染みですが、これも一体いつまで使えるか分からないものです。それはすでに新しいフォーマット「HEIF(ヒーフ)」が登場し広がり始めているからです。持続化給付金の申請画像に「HEIF」は使えません、と注意書きがされているくらい、知らず知らずの内に私たちは使っています。そうやって、時代が進むと共に効率の良いフォーマットが開発され続け、Jpegはもしかしたら100年後には開けなくなっているかもしれないのです。そして記録媒体もそうです。フロッピーディスクを展開できる機械はもう数少なく、HDDも接続端子が進化し続けています。その都度、新しいフォーマット、媒体に更新すれば良いのですが、100年後にそれを自身で行うことはまず不可能でしょう。磁気で記録している媒体では電磁的なトラブルで一瞬で全て失うことも身近にあり、デジタルというものは本当に弱いものだと私自身が身を以て体験したこと多々ありました。

そんなとても脆弱な上で写真を撮り続け、欲を持って500年先でも自分が生きた証として写真作品を遺したい、なんてもし思った場合、どうしたら良いのか、よく考えなくてはなりません。
それの一つに『プラチナプリント』という古典技法があります。いわゆる暗室で制作するモノクロプリントはハロゲン化銀を感光材料として使用していますが、プラチナプリントはその名の通り白金(プラチナ)を使用しています。金はご存知の通り地球上で一番安定した金属なため、それを感光剤として使用した写真は500年は保存できると言われています。
(※私自身はその前に支持体である紙が保つのか・・と心配もしますが)
それでも今この瞬間の令和2年の出来事を500年先へ、デジタルも印刷された雑誌も新聞社のマイクロフィルムも何もかも追い抜いて唯一遺る可能性があります。たとえ無名でも、500年先にはその写真により、その作品と名前が遺るのです。それがこのプラチナプリントの凄みです。

と、ここまでは野望というか、強い承認欲求みたいで低俗な感じもしますが、このプラチナプリントは一言で『大変美しい』です。実は私も学生時代にそのプラチナプリントの質感の美しさに魅了され虜になり、一時は夢中になって制作していました。当時はプラチナの価格も今みたいに高くなく、苦学生ながらも食費を頑張って削れば薬剤代を捻出できるものでした。そして設備も大掛かりなものも必要なく、当時住んでいたボロアパートの浴室で制作できました。しかしそれでも失敗も多々あり、技術が安定するまでよく散財しました。それでもやっと得られたその美しさは他と比べようがなく、芸大で写真を勉強する中で本当の”写真”というものの醍醐味を味わった瞬間でもありました。

プラチナプリントから離れて10年以上経過していますが、今も美術館やギャラリーで他の作家さんのプラチナプリントを目にする度に、また取り組みたいと強く思ったりします。

ぜひカメラに熱中されている皆さんにも、本当に本当に美しい写真に触れてみていただきたいと思います。更に可能であればプラチナプリント制作にも取り組んでみて下さい。そして、500年先の未来へこの時代を生きた証を遺して下さい。

★当時私が制作したプラチナプリントを紹介します。2006年にNYを旅し、復興途上だった街の姿をプラチナプリントでおさめたものです。この作品は販売し手放したため、きっとどこかで保管されていると思います。

写真を500年先の未来へ残すためには

(2020年6月10日(水) 18:19)

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