(一回別の話題をはさみましたが、この話題に戻りましょう)
さて、①の記事で、
外食には、従業員のお給料が値段に含まれている、という話をしました。
そして、自炊の場合は、自分に給料を払うことはありません。
でも、こういう状況を想像してみてください・・・
今日一日の仕事を終えたあなた。
今日は自炊をしようかなぁ、と考えています。
自炊にかかる費用(食料代とか電気ガス代とか)は、400円だとします。
と思った矢先、上司から、
「すまん、一時間だけ残業してくれないか?」
時間外手当は、@2,000円/時間だとします。
しかし、残業してから、家に帰って自炊する気は起きません。テレビ見たいし。
だから、残業した場合は外食しちゃおう、とおもってます。値段は、900円。
さてあなたは、①残業せずに帰るか、②残業して帰るか、どちらを選びますか?
(上司からの依頼は断れるものとします)
(今後の上司との関係とか、抜きにして)
収支だけを考えて、意思決定するなら、以下のように計算できます。
①の場合 △400円
②の場合 2,000円-900円=1,100円
①<②より、②残業して帰ったほうが得。
そりゃそうですよね。外食にすれば+500円食費がかさみますが、残業代2,000円をもらってあまりありますからね。
で、このときに、①と②を以下のように比較することもできます。
①の場合の費用:
食料代とかガス代とか400円+「労務費」2,000円=2,400円
②の場合の費用:
外食代 900円
①>②より、残業して帰ったほうが食費がかからない。
つまり、この状況の場合、
自炊によって得ることのできなかった給料を、自炊の「労務費」と考えて、
意思決定をすべきだと、いうことです。
このように、
(①でお話したように)
実際に発生した費用についてどのように製造原価を決定するか、仕訳をするか、
というのは工業簿記の学習のひとつの分野なのですが、実は、
企業の設備投資意思決定
(例えば、既存の製品を作り続けるか、新規設備投資をして新製品を作るか、
どちらが儲かるか)
についての学習も工業簿記のひとつの分野なのです。
(※実際には、2級の問題では、こっちはの分野はほとんどでません。。。
1級の工業簿記&原価計算では、結構なウエイトで出題される分野です)
実際の企業でも、
向こう一年の予算や、3~5年の中期、さらにはより長期スパンで、
同事業を展開し、設備を投資していくかということは重要な問題です。
「経営企画室」といった部署が、その意思決定のためのさまざまな数字を集めて
いることが多いと思います。
そのような意思決定の際に、
どの数字を考慮すべきか(あるいは考慮すべきでないのか)について、
日商簿記2級、1級の工業簿記の学習が、役に立つんですね。
(話を元に戻すと・・・)
「残業してから自炊すれば一番いいんじゃないの?」
はい、ごもっともです。
ですがこの際には、お金の収支と、テレビを見る余暇の時間について、
どのバランスが良いか、人によって違ってくるので、
それはまた別の話です。
(こうなったら、経済学で学ぶ分野ですが、
それぞれの人にとって、お金の収支と、テレビを見る余暇の時間、
どのバランスが最大の効用となるか、ということを考える必要がありますね)
(続く)
(2015年1月31日(土) 0:10)