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音とテクニックと個性(わたし)【前編】

サックスのプレイスタイルは十人十色。テクニックを全面に押し出すプレイ、感情剥き出しのプレイ、個性的なプレイ…様々ですがいずれも偏ってはいけないのかもしれないと思います。

「テクニックに走らず」という人に限って、実は緻密な計算の上、それまでの研鑽で得た様々なテクニックを隠し味的に随所に忍ばせクールにキメています。テクニックはひけらかすべきものではなく、それが当たり前のように使えるまでに習熟させねばならないのは言うまでもありません。

サックスの音は声のような先天的要素はないですが、闇雲にロングトーンしても個性的な音になるわけではありません。常に変化はあっても、目指すべき音をイメージしながら音を作ることが望ましいでしょう。そうでなければただの管です。

音楽ライター・ジャズ評論家の富澤えいちさんの「ジャズを読む」に興味深い発言がありました。私が最近目にした文章で最も考えさせられたものなので要約せず、全文紹介いたします。

《欠点であることこそが個性~

墨を濃くする力のない人は、薄い墨で書くのが個性なのだ。体力のない人が、どろどろの濃い墨で書くのは、個性をなくす行為である。引用:石川九曜『書くーー言葉・文字・書』(中公新書)

この文には、2つの意図が隠れています。1つは字義通り、自分にそぐわない方法は選ばないことというもの。もう1つは、そうなりたいのであればそうなるように努力しようというもの、です。

憧れは、自分を見えなくしてしまいます。そのおかげで、自分を抑制していた限界を突破することができるようになったりもします。物事には善し悪しの両面があるということです。

また、濃い墨でも薄い墨でも書けるようになりたいという欲も出ます。両刀遣いができれば、表現の幅も広がるし、ないよりも多才であると評価されることは悪い気分ではありません。しかし、そこには「器用貧乏」という落とし穴もちゃんと存在しています。

なにが自分なのか、なにが個性なのか。もし答えが出せるようならば、危険だと思います。その自分や個性はすでに固定化、つまり「死」の状態にあるといえるからです。

自分は常に変わり、個性も常に変わる。すなわち、考え続けることが自分であり個性であるということかもしれません。》

毅然とポリシーを持ち続ける、王道を突き進む、これらもまた素晴らしいことです。

(後編に続く)

 

(2010年8月13日(金) 23:58)

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この記事を書いたコーチ

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