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野外劇について(10)

うちの稽古である。。。
毎回思うことだが、いくら稽古してもし過ぎるということはない。

ただ、過去において1回だけ「もう十分」と感じたことがあった。
数年前、本番1週間前の稽古だった。
今でもはっきりと覚えている。
「多少の手直しはあるものの、これ以上稽古をやると役者のテンションが狂う」と感じたのであった。
おかげでその時の役者2名はスペース・ゼロで新人女優賞をもらった。

さて、「夏の夜の夢」の稽古である。
人数が多いこともあって中々稽古がはかどらない。
多いからレベルもまちまち、芝居もまちまち、間もまちまち、統一性もまちまち…

(あかんやん…。)

ま、こんな大人数の芝居をやろうと言い出した自分が一番悪いわけなんですがね。

しかし、本番1週間前になってなんとかみれるものになってきた。
実はその日(6/1)の稽古前にある仕掛をしておいた。
その日は役者・ダンサー・演奏者・スタッフのほぼ全員が集まる日であった。

(1週間前なんだから当たり前だろう!)

「今日しかない」と、稽古前にいそいそとワインとジュースを買い込んだ。
稽古場にテーブルが出され、紙コップが並べられる。
全員が揃ったところでこう切り出した。

「えー、奇しくも”今日”、今から439年前の1564年。
ロンドン郊外のストラットフォードという小さな町に男の子が生まれました。
その男の子は大きくなってたくさんの戯曲を残しました。
そして約400年後のこの日本において、その彼の作品を上演するために、われわれはここに集まったのです。
彼、ウイリアムが「夏の夜の夢」という作品を作らなければここに集まることはありませんでした。
本番1週間前の今日、彼の誕生日を記念して、みんなで乾杯をしましょう。
ウイリアム・シェイクスピアに乾杯!」

自分で言いながらちょっと感動したりしてしまった。
その場にいた者も「へぇー」「ほぉー」と感じた者も少なくなかったはずである。
「ウイリアム、降りてくるかな…。」などと言いながら稽古を開始した。
その稽古はいままでで一番よかったのである。

さて、聡明なみなさんならもうお気づきのことでしょう。
そうです。
ウイリアム・シェイクスピアの誕生日は『1564年4月23日』なのです。

「じゃ、嘘をついたの?」

いいえ、嘘なんかついていません。
確かに”今日”とは言いましたが、6月1日に生まれたとは一言も言っていないのです。
早い話が演出からの小さな仕掛だったのです。

400年ほど前に、本当に生きていたその人を感じて欲しかったのです。
お話ではなく、生(なま)の人間を感じることが、この集団には必要だと思ったわけであります。

いいじゃないですか。
そのおかげでほんの少しでもまとまりが出来て、芝居をすることが面白く感じてもらえるんなら。

ね~!
(これが演出というもんよ!!)

次はラフレシアにいよいよ乗り込みます。

<続く>

 

(2015年5月5日(火) 22:14)

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この記事を書いたコーチ

自らの劇団にて若手を指導。映画にも携わった舞台・映像演技のエキスパート

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